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藤子不二雄作品を中心とした、レトロ漫画・アニメに関しての調査・研究・ツッコミがメインです。


by fujiko-kei
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幻の「ナック版『いじわるばあさん』を見た!」

日本テレビ系『DON!』番組内『今日は何の日』のコーナーにて、「長谷川町子美術館がオープンした日」として長谷川町子先生のの特集が放送されていました。
(ちなみに、同番組では今年4月16日にも「サザエさんが朝日新聞に連載を開始した日」として長谷川先生関連の特集が組まれていまして、その内容と結構被っている部分も多かったです)。

その中で登場したのが、長谷川先生の代表作のひとつ『いじわるばあさん』アニメ版の映像。幻の「ナック版『いじわるばあさん』を見た!」_b0134245_21383668.jpg
青島幸男都知事の実写版が有名な『いじわるばあさん』ですが、アニメ版は『サザエさん』と同じエイケンの制作で、1996年放映開始のものが知られています(…と思いますが、キー局の関東地区以外では結構マイナーな存在だったのではないでしょうか…?『ドラえもん』の裏番組であった上、地元では数ヶ月で打ち切られてしまったらしく、自分は全く覚えていません…(笑))。


しかし、流れた映像は、「エイケン版」とはちょっと違った雰囲気が感じられました。
もしや…!と思い、画面に出ていたテロップを見てみると…。

幻の「ナック版『いじわるばあさん』を見た!」_b0134245_21402978.jpg
協力:ICHI…。

あっ!
ナック版だ!!


このサイトを見に来られる方々の中にはご存知の方も多いかと思われますが、「ナック」は1970年代~80年代にかけて『チャージマン研!』、『ダメおやじ』、『ドン・チャック物語』など、日本アニメ界の中でもひときわ異彩を放つカルト級アニメを生み出した、伝説のアニメ制作会社です(勿論『星の王子さま プチ・プランス』のような素晴らしい名作も作っています)。
そして、その「ナック」は2008年に社名変更し、現在「ICHI」という社名になっています。

突っ込みどころ満載という点から近年インターネット上で再評価され、人気を呼んでいるナック作品ですが、その第1号である『いじわるばあさん』だけは、どんなに探しても画像が見つかりませんし、作品の詳細な情報も掴むことができません(ひょっとすると『TVアニメ25年史』あたりにスチールが載っていそうな気がするのですが、『25年史』自体が入手困難であるため未確認です)。
追記:『―25年史』にスチールは掲載されていないそうです(読者の方からの情報)。

おまけに権利元が長谷川町子美術館(過去のテレビ作品をあまり表に出さなさそう)+制作会社がナック(フィルムの管理が曖昧そう)という、ある意味最強のコンビのため、見るのは絶望的だろうなぁ…と思っていましたので、『DON!』の映像がナック版だと気づいたときには飛び上がりました。

…ということで本作は、自分の中では『怪盗プライド』、モノクロ『スカイヤーズ5』、モノクロ『ロボタン』…いや、『ドルフィン王子』に匹敵するくらいの幻のアニメでした。
(『ドルフィン王子』は実質≒『海底少年マリン』ですので、「幻」というとアレかもしれませんが…)


そんなナック版『いじわるばあさん』はこんな感じです。
幻の「ナック版『いじわるばあさん』を見た!」_b0134245_2139447.jpg幻の「ナック版『いじわるばあさん』を見た!」_b0134245_21391296.jpg
幻の「ナック版『いじわるばあさん』を見た!」_b0134245_21392365.jpg幻の「ナック版『いじわるばあさん』を見た!」_b0134245_21392987.jpg
幻の「ナック版『いじわるばあさん』を見た!」_b0134245_2140096.jpg幻の「ナック版『いじわるばあさん』を見た!」_b0134245_214091.jpg
幻の「ナック版『いじわるばあさん』を見た!」_b0134245_21401756.jpg
ナック作品といえば作画の手抜き感(主に予算不足によるもの)に定評がありますが、『いしわるばあさん』は結構まともな印象を受けました。
よくよく考えると、ナックの初期作品である『正義を愛する者 月光仮面』や『アストロガンガー』の作画はしっかりしています(『チャージマン研!』も絵の動きこそありませんが作画は安定)。
ナック作品の手抜き感を印象付けたのは、1974年の『ダメおやじ』でしょうか…?

フィルムは現存していることが分かったのは収穫でした。『DON!』で流れたものは昔のポジフィルムらしく若干退色はありましたが、状態はそれなりに良好そうです。
声の出演は、'60年代の実写版で3代目「波多野タツ」(アニメ版での名前は「原野タツ」らしい)を演じられた高松しげおさん。結構いい感じです。


作品を見て、「あ~、ナックだなぁ…」と感じた箇所をひとつ。
幻の「ナック版『いじわるばあさん』を見た!」_b0134245_053474.jpg
エステの機械(?)で慌てている人が…。



幻の「ナック版『いじわるばあさん』を見た!」_b0134245_053474.jpg幻の「ナック版『いじわるばあさん』を見た!」_b0134245_055748.jpg
『ダメおやじ』のオニババに似てます(笑)
『いじわる―』の制作と『ダメおやじ』の制作には約3年の間がありますので、偶然でしょうけど。


しかし、あえて『DON!』がナック版の映像を流したのかが気になって仕方ありません。
(エイケンから『サザエさん』の映像と共に『いじわるばあさん』の映像も借りれば良かったはず)
ナック版はよみうりテレビ(=NNN系列)をキー局に放送されていましたので、日テレ的にはフジ系で放送されたエイケン版よりこちらの方が都合が良かったのでしょうか…?
しかし、フジテレビ+エイケンの『サザエさん』の映像も流れたわけですし…。謎です。

とりあえず、見ることができて良かった…ということは確かです。
ナイス日テレ!

ナック版『いじわるばあさん』データ(主にWikipediaを参考)
放映時期:1970年10月3日~1971年8月18日
放映日時:毎週土曜19時30分~20時00分
 →毎週水曜19時30分~19時56分(1971年4月より)
 →毎週水曜19時30分~20時00分(1971年7月より)
回数:全40話(?)
放送局:よみうりテレビ/日本テレビ系
原作:長谷川町子
アニメ制作:ナック
製作:よみうりテレビ、テアトルプロ
声の出演:原野タツ/高松しげお

※タイトルは『意地悪ばあさん』説あり


せっかくですので長谷川町子関連でもうひとつ。
7月26日放送の『SMAP×SMAP』にてサザエさん特集が組まれていたのですが、珍しい映像として、テロップ付きの初代オープニング&エンディングが紹介されていました。

初代オープニングは'90年代の特番で第1回放送分のうちの1話『75点の天才!』が丸ごと再放送された際に一緒に流れたことがありましたが、その際にはテロップがマスクで消されていましたので、テロップ入りバージョンは貴重です。
エンディング映像(下画像2枚)は更に貴重。テレビで流れたのは本放送以来かもしれません…。
幻の「ナック版『いじわるばあさん』を見た!」_b0134245_2384192.jpg幻の「ナック版『いじわるばあさん』を見た!」_b0134245_21413370.jpg
他にも火曜版オープニングを紹介するなど、なかなかマニア心をくすぐる特集でした。
それではまた…。


画像出典:アニメ『いじわるばあさん』、『サザエさん』、『ダメおやじ』
(C)長谷川町子美術館、株式会社ICHI、株式会社エイケン、古谷三敏
by fujiko-kei | 2010-11-03 21:37 | 雑記