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藤子不二雄作品を中心とした、レトロ漫画・アニメに関しての調査・研究・ツッコミがメインです。


by fujiko-kei
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実写版『忍者ハットリくん+忍者怪獣ジッポウ』

60年代の「TVになった藤子作品」というと、アニメの『オバQ』、『パーマン』、『怪物くん』などが知られています。しかし、その中でもイマイチ知名度の少ないのが、特撮作品『忍者ハットリくん』と『忍者ハットリくん+忍者怪獣ジッポウ』。
第1作『忍者ハットリくん』については、全話の現存が確認されておらず(後述)、オープニング以外のビデオ・DVD化もされておらず手の出しようがないため、今回は第2作『+ジッポウ』のみを取り上げていきたいと思います。

実写版『忍者ハットリくん+忍者怪獣ジッポウ』_b0134245_1792457.jpg実写版『忍者ハットリくん+忍者怪獣ジッポウ』_b0134245_19525983.jpg
実写作品ですが、オープニングはアニメになっています(第1作は止め絵で構成)。
これがまた、当時の安孫子絵の雰囲気が出ていてGoodなのですが、これはスタジオ・ゼロの鈴木伸一先生が演出されたといわれています。
実写ドラマでOPがアニメ・止め絵で構成されているのは、当時の作品ではよくあることだそうです。

実写版『忍者ハットリくん+忍者怪獣ジッポウ』_b0134245_1953660.jpg実写版『忍者ハットリくん+忍者怪獣ジッポウ』_b0134245_19531263.jpg
藤子先生のイラストは、アイキャッチなど各所で使用されていました。


■シリーズの特徴/ストーリー■
実写ハットリを語る上で欠かせない大きな特徴ですが、ハットリくんの顔はお面
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まあ、下手に素顔で演じられても困りますが…(香取ハットリは良かったと思いますけど)。

これがけっこう不気味(慣れれば問題ありませんが)であり、声もアニメ版とはギャップがあるため、懐かし番組を紹介する番組でも、実写版アトムと並んでよくネタにされています。実写版『忍者ハットリくん+忍者怪獣ジッポウ』_b0134245_20472557.jpg実写版『忍者ハットリくん+忍者怪獣ジッポウ』_b0134245_20475043.jpg
■『鉄腕アトム』昭和34年/松崎プロダクション制作


ストーリーの方ですが、第1作『忍者ハットリくん』の方で原作のケン一くん一家を登場させてしまったため、今回ケン一くん一家は登場せず、新しくフジノ家でのストーリー展開となっています。
前作に登場した弟・シンゾウや、ライバルのケムマキは登場せず。
内容は、ハットリくん&ジッポウの巻き起こすドタバタ劇。「第1作は時代劇臭い」という話も聞きますが、『+ジッポウ』の方は『燃えろ!(がんばれ!)ロボコン』のような、普通の子供向けホームドラマといった感じです。

パパである「フジノ・山太郎」は「富士の山、太郎」さんと呼ばれ、「あら、たまげたよ」さん、と呼ばれている「あらたま・げたよ」さん、用務員「めで・たいぞう」さん等、ちょっとおかしなネーミングも本作の特徴となっています。
第1作では「花岡実太」(はなおかじった→鼻を囓った)先生なんてのもいました。

偶然ですが、お姉さんの名前「フジノタカネ」は、『ジャングル黒べえ』のタカネちゃんと同姓同名だったりもします。
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で、そのお姉さんを演じていたのは、当時中学生だった松坂慶子さん。
本作が栄えあるデビュー作です。

気になる「ハットリくんの声」はというと…これは「普通の男の人の声」としか言いようがありません。声優は『名探偵ポワロ』で有名な熊倉一雄さん。
ジッポウの方はパーマン1号(三輪勝恵さん)、もしくは初代オバQ(曽我町子さん)のようなイメージで、アニメ版の滝口純平さん演じる「ドクロベエの声」とは全くかけ離れています。
これはこれでいいと思いますが…。実写版『忍者ハットリくん+忍者怪獣ジッポウ』_b0134245_17135029.jpg
また、リメイク版原作(1980年代に連載されたもの)やアニメ版のように「~だポー!」という喋り方もしておらず、普通に「~だよ。」という感じです。


■フィルムの現存について■
実写版『忍者ハットリくん+忍者怪獣ジッポウ』_b0134245_1726375.jpg『忍者ハットリくん』を含めて、50~60年代の東映ドラマ作品は、現在「第1話しか残っていない」という現象が発生しています。

これはカラー放送が普及したされた1970年代に、「今更モノクロ作品は必要がない」と考えた東映が、各作品の第1話のみ、もしくは数話だけを資料として保存し、残りのフィルム(プリント)を処分してしまったことが関わっています。ネガフィルムに関しては現存している模様。

LD・DVD化されている数少ないモノクロ作品である『悪魔くん』・『河童の三平・妖怪大作戦』も、当初は全話が現存しておらず、ビデオ化の際にネガから新しくプリントがされたそうです。

そこでニュープリントをすればいいという話ですが、知名度のない『忍者ハットリくん』をプリントし直すにはコストがかかりすぎ、採算がとれないため、ネガ自体は現存しているようですが焼き直すことは難しいようです。

『+ジッポウ』のCS放送・DVDに使われたフィルムは、ニュープリントされたものではないそうなので、なぜ『+ジッポウ』のみ完全に残っていたのかは謎です。


■放映リスト■

『忍者ハットリくん+忍者怪獣ジッポウ』
放映:1967年8月3日~1968年1月25日
■第01話『ジッポウ君あらわる』
■第02話『ジッポウ君大失敗!!』
■第03話『変な家でござる』
■第04話『ごきげんジッポウ君』
■第05話『PTAとはなんでござる?』
■第06話『結婚式とは大変なものでござる』
■第07話『コケコッコーは結構でござる』
■第08話『助太刀は無用でござる』
■第09話『山賊ゾクゾク出て来たでござる』
■第10話『学校は難しいでござる』
■第11話『ジッポウはお風呂が嫌いでござる』
■第12話『江戸城へモグルでござる』
■第13話『パイナップルは真ッ平でござる』
■第14話『天下の名馬は流石でござる』
■第15話『海賊あらわれるでござる』
■第16話『これぞヤマトダマシイでござる』
■第17話『危機一髪人助けでござる』
■第18話『ジッポウの病気は特大でござる』
■第19話『産業スパイをやっつけるでござる』
■第20話『ハットリくんの名探偵でござる』
■第21話『妖術との対決でござる』
■第22話『タマシイ入れかえの術でござる』
■第23話『それは、ジッポウ君卑怯でござる』
■第24話『見ザル聞カザル言ワザルでござる』
■第25話『ジッポウのユウレイ退治でござる』
■第26話『ジッポウよサヨウナラでござる』


『忍者ハットリくん』
放映:NET系1966年4月7日~9月28日
■第01話『ハットリくん来たる』
■第02話『学校騒動』
■第03話『伊賀甲賀の対決』
■第04話『留守番騒動』
■第05話『遠足騒動』
■第06話『カンニング騒動』
■第07話『日曜騒動』
■第08話『ドリームランド騒動』
■第09話『忍術学校騒動』
■第10話『映画騒動』
■第11話『お化け騒動』
■第12話『観光騒動』
■第13話『スパイ騒動』
■第14話『お食事騒動』
■第15話『押し売り騒動』
■第16話『学芸会騒動』
■第17話『自転車騒動』
■第18話『仮病騒動』
■第19話『林間学校騒動』
■第20話『切腹騒動』
■第21話『お手伝いさん騒動』
■第22話『ハットリくんシゴかれる』
■第23話『はしか騒動』
■第24話『結婚式騒動』
■第25話『誕生日騒動』
■第26話『伊賀の騒動』
参考:Neo Utopia第37号
注:第1作では、制作順と放映順が異なっています。


これで実写版『忍者ハットリくん』の特集を終わります。
『+ジッポウ』の方は、少し高価ですがDVDも出ていますし、藤子ファンには一見の価値はあると思いますので、機会があれば是非どうぞ。

では次回。
by fujiko-kei | 2008-05-04 19:53