藤子不二雄作品を中心とした、レトロ漫画・アニメに関しての調査・研究・ツッコミがメインです。


by fujiko-kei
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カテゴリ:バリエーションの世界( 13 )

2005年10月、アニメ版ドラのオープニングが一新。
『ドラえもんのうた(女子十二楽坊版)』から新曲『ハグしちゃお』に変更され、シンエイ版開始以来初めて「『ドラえもんのうた』じゃないドラえもんのオープニング」が約一年半使用されました。

ネット等でも話題になりましたが、『ハグしちゃお』への変更後、最初の3週間だけ放送された初期バージョンは、それ以降に放送されたものとは微妙に異なるものとなっています。

今後DVD等にも収録されなさそうなこのバージョンと、いわゆる通常版とを、今回は比較してみようと思います。


『ハグしちゃお』比較
左:初期Ver.('05/10/28~11/11使用)
右:通常Ver.('05/11/18~'07/04/30使用)

Part.1
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メインタイトル。
初期Ver.では『ドラえもん』のタイトルが消えてからドラ達が画面中央に走ってきますが、新Ver.では消える前に走ってきていて、背景も若干トリミングが異なります。
また、最初に『トラえもん』文字のバックで映像がクローズアップしますが、初期Ver.では画面が一旦ストップしています(文字に表すの難しいなぁ…。。) 。

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「泣きっ面・仏頂面…」の部分。
次々と表情を変えるドラ達ですが、その3回目の表情だけは、5人が初期版と通常版で異なる格好をしています。

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ドラ達が道路を駆け抜けるシーンですが、初期版では背景のスピードが速く、人物と合っていないものでしたが、通常版では少しスピードが緩められました。
しかし、これが逆に「ゆっくりすぎる」少し不自然な形になっています。

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初期版で死んでいたドラの顔も修正。
動きが速いシーンでしたので、元々そんなに気になるものではありませんでしたが。

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同じカットの続きです。
少々荒めの作画だった静香・ジャイアン・スネ夫の顔も修正。

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海底で巨大イカに襲われるシーン
このカットは修正されている部分がかなりありました。

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画面拡大。
マンガ表現のように動く表現がされていたのび太の手は、静止するように修正されました。
作画が荒めだった細かい人物の顔、静香の輪郭も修正。

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イカに襲われた直後
結構アバウトに描かれていた細かい部分が色々直されていますが、大きな変更点は静香の持っているもの。

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初期版で持っていた気の棒かバットのようなものが、作画修正時に日本刀(名刀・電光丸?)に変更されました。「刀は危険なのでバットに修正」なら分かる気もしますが、なぜわざわざバット→刀になったのかは不明(単なるスタッフのお遊び?)。

以上、変更されたのは、道具で町を駆け抜ける~巨大イカの出現までの3カット。
サビの『ドラえもん』キャラクター総登場のシーンの変更等は無し。
今回はこれで終了です。

開始後三年が経って認知度も高くなった『わさドラ』ですが、昨年末頃からは、素人目でも明らかに作画が変…というシーンが結構見受けられるようになり、原作調だった顔も徐々にクセのあるものになりつつあります。
また、ストーリーも「どこが面白いの?」と思うようなオリジナルストーリーが放送されることもありますし、今後の気になる「わさドラ」です。

では次回。
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by fujiko-kei | 2008-05-11 13:59 | バリエーションの世界
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『愛…しりそめし頃に… さらば友よ』より

新宝島』。手塚治虫先生の初のヒット作として、タイトルはかなり有名ですが、復刻版を含め、実際に本編を読んだという方は意外と少数ではないでしょうか?

現在『新宝島』は、講談社発行の手塚治虫全集で手軽に読むことができます。
しかし、この全集版『新宝島』は、実は'86年にすべてが描き直された、タッチもコマ割りも異なる全くの別モノです。藤子先生が衝撃を受けた、昭和22年発行の元祖『新寶島』(のちに新自体の『新宝島』となる)とは全く異なるものなのです。

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手塚治虫全集281『新宝島』(リメイク版)

なぜ復刻ではなく、わざわざ描き直すことになったか…というのは、全集版のあとがき『「新宝島」改訂版刊行のいきさつ』に書かれていますが、大筋はこんなところです。

■オリジナル版の原稿・刷り見本等は現存しない(当時の出版社は原稿買い取り制だった)。
■オリジナル版はターザンの顔など、原作者・酒井七馬によって手が加えられており、完全な手塚治虫作品とはいえず、この点が、手塚自身が気に入らなかった。
■印刷物からの復刻も可能であるが、本を出版する際の「描き版」(原稿を、印刷会社が更にトレースする)の質が良くなかった為、トレースで酷くなった自分の絵を読者に見せたくなかった。

結局、手塚先生の完璧主義が、一番の復刻できない理由なんですね。手塚先生亡き後も、手塚プロがその意向を受け継ぎ、現在も復刻には消極的になっていると思われます。

「二人」の見たオリジナル版『新宝島』。
昭和22年の出版当時は飛ぶように売れたそうですが、現存している物はかなり少なく、初版本は三百万円、再版でも百数十万円前後。赤本や海賊版等でも数十万円と、藤子先生の『最後の世界大戦』と並んで『日本一高い単行本』となっており、並のファンに手の届く代物ではありません。

そんなオリジナル版『新宝島』ですが、これまで一度だけ、正式に復刻されたことがありました。
'68年頃発行の『ジュンマンガ(第1号)』(奥付がないので詳細な発行日は不明)という本ですが、この本には、当時関西で漫画サークルを展開していた西上ハルオ氏によってトレス復刻されたオリジナル版『新宝島』が掲載されています。
しかし、一頁当たりがB7サイズに縮刷され、本編はページの上半分に見開きで2頁分掲載。下半分は新宝島の研究という珍しい構成になっていて、いまいち本としての迫力に欠けます。というか、初めてこの本を読むと、大概の方は「小さっ!」驚くと思います。

この本自体もさほど多く発行されなかったため、現在の相場は数千円~1万円程度と、入手には結構な出費が必要となっています(当時の定価は380円)。
値段こそ高いですが古本市等ではよく見かける本で、入手が困難…というわけではありませんが。

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'68年(頃)、文進堂発行『ジュンマンガ 第1号

普通に書店に並ぶ本というより、どちらかといえば、研究同人誌のような体裁となっています。また『第1号』とありますが、'69年に酒井七馬氏が逝去されたため、結局2号以降は刊行されず。

ちなみに主宰の西上ハルオ氏は、似顔絵師としても活躍されており、「宝塚ファミリーランドの似顔絵師」として、近年『探偵!ナイトスクープ』に取り上げられたことがありました。現在は宝塚造形芸術大学の教授をされているそうです。

また、著作権的にグレーですが、どこかの研究会かサークルの出した、ハードカバー(原本を同様の状態で復刻)や豆本、『Son Comics』(サン・コミックスではなくソン・コミックス!)銘での新書サイズの私家版等も流通しています。
これらは古本市等で見かけることが多々ありますが、これでもかなり高価なものとなっています(数万円程度)。


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オリジナル版とリメイク版比較。
オリジナル版にあった、『冒險の海へ』のようなサブタイトルですが、リメイク版では全てなくなっています。
また、当時のタッチに戻そうという努力は見られるものの、絵が明らかに最近の手塚タッチとなっており、同じく初期の傑作の『メトロポリス(大都会)』や『ロストワールド(前世紀)』(こちらは復刻版等で当時のままの画風で読むことができる)にあるような「初期の傑作の雰囲気」を感じることができなくなっています。

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(オリジナル版での)ラストシーン比較。
『ジュンマンガ』掲載のオリジナル版はトレス復刻なのでハッキリとは分かりませんが、オリジナル版にある、やはり初期の丸っこい画風はリメイク版で窺うことはできません。オリジナル版の物語はここで終わりですが、リメイク版はまだ続きます。

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リメイク版だけのシーン。
オリジナル版にはなかった、現実に引き戻されるような展開。オリジナル版執筆時に手塚先生の構想されていたシーンだそうで、結局当時は酒井七馬氏の折り合いと、頁数の都合で本にできなかったものをリメイク時に付け足したものとなっています。
ラストは『夢オチ』となっており、(オリジナル版発行)当時の漫画作品にありがちなものでした。


オリジナル版は現在のところ、ちゃんとした『本』の形で正式に復刻されたことはありません。

'75年頃に、『ロストワールド』等の初期の手塚単行本をそのままの形で、セットで復刻した『虫の標本箱』(青林堂)が出版されましたが、『新宝島』は発行されず。
また、'90年代には角川書店からかなりの数の初期作品が、原本をそのままコピーする形で収録した、文庫版が出版されたことがありました。
ですが、その際にも『新宝島』は、知名度が高いにも関わらず出版されませんでした。

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小学館クリエイティブ発行『手塚治虫と『新宝島』 その伝説と真実

しかし近年の動きとして、ディズニーとの権利関係で「復刻は不可能」とされていて、手塚治虫全集にも未収録だった作品『ピノキオ』と『バンビ』(ピノキオの原本は当時無許可で出版されていた)が'05年には揃って復刻されました。
また、昨年12月に発行された『手塚治虫の『新宝島』 その伝説と真実』にもオリジナル版の冒頭数ページ掲載されていましたし、ここ数年の漫画復刻ブームに乗っての復刻が、着々と準備されているのかもしれません。

今回は完全に手塚作品の解説になってしまいましたね…。
では次回。
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by fujiko-kei | 2008-04-20 21:11 | バリエーションの世界
今回は秋田書店「少年チャンピオンコミックス」のバリエーションに(少しですが)せまってみようと思います。

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本来『魔太郎がくる!!』の単行本で紹介したいところですが、魔太郎の単行本はあまり持っていないため、今回はサンデーコミックス初期~現在まで40年近く増刷を重ねている、手塚治虫『ザ・クレーター』で紹介します。

で、まずは背表紙の巻数表示
左から緑・黄色・クリーム・赤・希少の青の5種類の存在しています(黄と青は今回参考用にPCで制作したもの/実際に『ザ・クレーター』に存在しているかは不明)。

緑…チャンピオンコミックス刊行当初(S45)~S48年頃まで使用。
魔太郎では1・2巻が存在。
基本的に現在のマークより少し小さめなのですが、一部現在と同じ大きさの「」もあるようです。

黄色…S48年頃に使用。
魔太郎では3~5巻が存在。1・2巻のこのバージョンは存在しない?

クリーム…S48年頃と、昭和50年代の一時期に使用。
魔太郎(初版)では6巻のみ。50年代の増刷で、他の巻もこの仕様で発行された模様。

赤…S49年頃~現在(一部期間を除く)まで使用。
古本屋で見かける魔太郎の殆どはこれ。初版では7~13巻、増刷で赤に統一されました。
また、世に出ている『ブラック商会変奇郎』のすべてはこのバージョン(未確認の青巻数表示を除く)。

青…S55年前後の、ごく一時期に使用。
この仕様で全巻揃えるのは至難の業。魔太郎に青巻数表示のものが存在しているかは未確認です。

また、現在(クリーム巻数表示以降)はボンド製本ですが、それ以前は糸綴じのみ、もしくは糸綴じ+ボンドでの製本(背が割れてバラバラになることがない)となっていました。
『魔太郎』では1~5巻がこの仕様で存在していると思われます(4・5巻は未確認・推測)。
ただし、ボンドだけの製本になった初期のコミックはボンドが薄く、背割れしやすい傾向にあります。b0134245_16104487.jpgb0134245_1610522.jpg

背が固まっているボンド製本とは違い、本を完全に開くことができるので、スキャンする上でも都合がよかったりもします(画像は両方とも『ザ・クレーター』)。

少年チャンピオンコミックス(と、サンデーコミックス)のバリエーションは他にも存在していますが、今回は以上の紹介で終わりとします。
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by fujiko-kei | 2008-04-20 15:50 | バリエーションの世界