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藤子不二雄作品を中心とした、レトロ漫画・アニメに関しての調査・研究・ツッコミがメインです。


by fujiko-kei
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<   2009年 09月 ( 2 )   > この月の画像一覧

以前もご紹介しましたが、1965年に放送が開始されたモノクロ版アニメ『オバケのQ太郎』には、ほとんど公に出ないパイロットフィルムが存在しています。

スタジオ・ゼロ制作のこのフィルムですが、欧米風かつSF風の都市を舞台に『オバQ』の物語が展開されているという大変異色なもの。
フィルムは現存している模様ですが、当方で確認できた限りでは現在まで、NHK-BS2の特集『集まれ!夢のスーパーヒーローたち!夢の工房(1)藤子・F・不二雄の世界』(1993年4月6日)と、NHK教育で放送された藤本先生の追悼番組『ETV特集 こんなこといいな できたらいいな ~藤子・F・不二雄の世界~』(1996年10月1日放送)の2番組で断片的な映像が紹介されただけにとどまっています(後者は再放送も行われていたようです)。

しかしその放送から10年以上が経ち、現在web上で見ることができるのは「パイロット版を見た」という情報のみ…。「未来都市が舞台」、「Qちゃんがおっさん声」といった断片的な、半ば伝説のような噂だけしか知ることができませんでした。
しかし今回初めて、追悼番組の方で放送された『オバQ』パイロットフィルムの映像を見ることができました…。





これがパイロット版『オバQ』だッ!




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顔色悪いです。

体色がグレー…。
目が白いのがお分かりいただけるように、フィルムのテレシネ具合や劣化具合でグレーになっているのではなく、初めからグレーの色指定が行われていたようです。

伝説となっていた「声」ですが…予備知識があってもこれにはビックリ。
見事に「爽やかな好青年の声」で喋ってくれてます。
誰に似ているかというと例えにくいのですが、「きれいなジャイアンが喋りそうな声」を想像していただければ丁度いいかと思われます。

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正ちゃんはどうなっているのかというと…なんとなく手塚漫画に出てきそうな顔と服装になっていました。これがSF風…なのでしょうか…!?
実際に放送されたアニメ旧『オバQ』では、正ちゃんの髪型は七三分けのような感じが基本なのですが、こちらはスネ夫型といいますか、ややリーゼント気味です。
声は女性が演じていましたが、特に違和感はありませんでした。

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Qちゃんと太田さん(?)。太田さん宅では、何やらパーティーが行われているようです。
キャラの顔を見てみると、どこかカートゥーンっぽい顔になっているような。太田さんに関しては、昔のトリスウイスキーのCMにでも出てきても違和感ないと思います。

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夜の街を飛ぶQちゃん&正ちゃん。
映像を見る限り欧米・SF的な街ではあるものの、そこまで未来都市というわけではないようです。
太田さん宅(右画像)は、いかにも'50~'60年代っぽいアメリカンンティストな一軒家でした。


さて、非常に気になるパイロット版の内容ですが、映像から読み取れるのは…。
Qちゃんが太田さん宅の壁塗りをして小遣いをもらう
太田さん宅でパーティーが行われている
夜の街を飛行するQちゃん&正ちゃん」(←ラストシーンに相当する場面?)
くらいのものですので、全く内容が読めません。原作付きのエピソードなのでしょうか…?

番組で使用された映像の元になったフィルムは、恐らくかなり前(製作当時?)に焼かれたものと思われます。フィルムの状態は、細かい傷が多数+(制作当時からそうだったのかもしれませんが)映像が若干ボケ気味といったもので、あまり良好な状態というわけではないようです。
(2011年)現在、パイロット版が最後にTVで流れたと思われる、藤本先生の追悼番組の放送から14年、パイロット版が制作されてからは45年が経っているわけでして、フィルムの劣化が進む前に是非とも映像を救い出していただきたいと思います。

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追悼番組では、実際に放送されたモノクロ版『オバQ』の映像も数カットだけ流れていました。
左画像のものはどの回か不明ですが、右画像は第12回Bパート『コレクションの巻』('65年11月14日放送)で、Qちゃんが、パパが集めている石にイタズラするシーン。


「パイロット版『オバQ』」製作の経緯は、TBS主導の「オバQ国際化プラン」によって作られた、TVの企画とは関係無しにスタジオ・ゼロ立ち上げ時に製作した…など諸説ありますが、最後に、番組で流れたパイロット版制作にまつわる番組司会者の質問と、安孫子先生の回答を書き起こしましたので、ご覧ください。
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Q:大変珍しいフィルムなんですが、パイロット版は勿論本放送はされていないんですが…非常にアメリカ的な舞台でパイロット版が作られたんですね?

A:そうですね。はい。『オバQ』がテレビになったのは(昭和)42年だと思いますけど、恐らくその前のパイロット版なんですね。

Q:どうして、ああいう生活像が…?

A:そうですね…結局あの頃はアニメは、それこそ手塚先生の『鉄腕アトム』とかSFが殆どで、こういう生活ギャグマンガってのはアニメに無かったんですよ。それで恐らく作る方では、いわゆる毎日の、こう日常的な背景だと、ちょっとこれは受けないから、バックをちょっとアメリカっぽくしようとしたんだと思うんですよ。

Q:なにせ憧れの生活を?

A:その方がなんかこう、見てるお客さんに受けるんしゃないかと思って、ええ。

Q:藤本さんは、どういう風におっしゃってたんですか?

A:僕も藤本君も、これじゃあね、僕らのオバQじゃないから…背景は、もう絶対大事なんだから、もう、それこそ四畳半が出たり、空き地が出たり土管が出たりするような背景じゃなきゃヤダって言うんで、これはキャンセルして、実際放映されたのは原作に沿ってるわけです。

もうひとつ、『集まれ!夢のスーパーヒーローたち!夢の工房(1)藤子・F・不二雄の世界』で放送された藤本先生へのインタビューが、K.Y,Tsukikage様の『藤子・F・不二雄の世界』内『藤子F談話録』に掲載されていましたので、引用させていただきます。
Q:当時、スタジオゼロでは鈴木伸一さんくらいしかアニメの専門家はいらっしゃらなかったということで、その辺はいろいろご苦労なさったのではないでしょうか?

A:ええ、もうレクチャーを受けながらの初めてのアニメ体験で、だから、パイロットフィルムを作ったといっても、全然記憶にないんですよね。

中略

Q:オバQにはパイロット版もあるんですが、随分ハイカラな、アメリカ漫画を想わせるような映像ですよね。
これは(オバQを)海外に輸出なさるということを考えていらっしゃったんでしょうか?

A:といいますより、国産で生活ギャグ漫画のアニメ化ってのはなかったわけですよ。
こっちとしても手探りで、見当がつかなくって、普通の雑誌に描いた漫画をそのまま動かしてそのままセリフを喋らせて、それでギャグがギャグになるのかどうか。
ついやっぱり、イメージとしまして、(パイロット版では)向こうのアメリカ漫画みたいな感じが雰囲気に入っちゃったんですね。
で、これはこれでね、結局空振りにおわっちゃったんですよ。

だけど、別に後から依頼が来て、改めて作ったときに、最初に向こうの制作者側からいわれたのが、これは是非輸出しないと採算がとれない、無国籍映画にする、というんですね。で、畳敷きはダメ、正ちゃんのうちには自家用車がある、和服はダメ、下駄履きもダメ。
今思えば、パイロット版の経験もあったんでしょうね、やっぱりそれは何か違うということで、漫画そのものが日本の風土に密着して生まれたものですから、それは困るので、それだったら止めてくれ、ということで、すったもんだのあげく、結局、日本的なオバケの漫画を作らせて貰ったと。
結果的にそれはよかったと思うんですけどね。

(2011.02.07修正)
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by fujiko-kei | 2009-09-21 08:46 | 作品レビュー
これまたお久しぶりです。
ドラえもんの誕生日が過ぎましたが、『藤子・F・不二雄大全集』の刊行は第2回配本まで進んでいますね。自分は今のところ、全話が文庫で読めてしまう『エスパー魔美』以外は購入しています。

魔美といえばこんな記事が。
エスパー魔美の仁丹消費量を検証してみた (Excite Bit コネタ) エキサイトニュース
http://www.excite.co.jp/News/bit/E1252408816417.html
全体を通して見るとかなりの仁丹を使ってるんですね…。

全集で『キテレツ大百科』を久々に読み返しましたが、頁数が多いということで、1話当たりのボリュームが凄いです。

冥府刀』は最近までアニメオリジナルの話かと思っていました。
原作の存在は『Neo Utopia 47』のキテレツ特集で初めて知り、一度読んでみたいと思っていたのですが…なかなか凄い話でした。
本作のアニメ版、第44回『ウルトラ迷路でウロウロどっきり!?』('89年3月26日放送)も他の回とは一線を画す異色の内容でトラウマ回として有名ですが、原作の方も負けず劣らずに、『キテレツ』としてはかなり異色でした。

どうでもいいですが、『公園の恐竜』の扉絵が何処かで見たことあるな…と思っていたら、ドラの『恐竜の足あと発見』(TC44巻)の扉と似てるんですね(笑)
『冥府刀』と『公園の恐竜』はF.F.ランドでの描き換え箇所が多く、画風の異なるコマが目立ちます。


ドラえもん』1巻・2巻収録の初期作品は、『新オバQ』さながらのドタバタと、ドラの間抜けさが面白いです。
『愛妻ジャイ子!?』、『のぞきオバケ』、『ペタリぐつとペタリ手ぶくろ』等は、いつもの『ドラ』の話とはどこか異なる雰囲気が新鮮でした。特に、ドラ&のび太による推理と心理戦を描いた(笑)『のぞきオバケ』は最高さと思います。
『流行性ネコシャクシビールス』のゲストキャラ「しゃれ子ちゃん」は、髪の網掛けが無くなり金髪(?)になっていて印象が変わっていますね。

ドラミ初登場回『ハイキングに出かけよう』に出てきた「自動コジ機」は全集で見事に消されているそうで、改変前ver.を一度見てみたいところです。そういえば、TC6巻巻末『ドラえもん百科』に出てきた自動コジ機も、今は消されてるんでしたっけ。



さて、大全集の刊行によって、今まで集めた藤子F本をどうするか困りますね…。

自分は単に作品が「読めればいい」と思っていますので、単行本の全種類を集めようと思ったり…ということはありません。個人的には、既に所持している作品に、未収録分も加えられて大全集に収録されるのであれば、今までの単行本は全く必要なくなるのではないかと考えています。

ということは「今まで集めた藤子F単行本は全て不要になる」という、ある意味最悪な現実を突きつけられることになりますし、将来の置き場も考えると、古い版などを除いて全集完結後にてんコミやF.F.ランドは処分することにもなるかもしれません。

それを考えると、今はかなり幸せだな~…と思ったりします。



最後に、皆さんご存じかと思われますが、インターネット黎明期から藤子サイト『藤子アニメだいすき!』を運営、近年はブログ『パンポロリン!』で勢力的に活動されていた「あるさん」が先日お亡くなりになられました。
詳しい状況などは『高畑★SAN 魔美的 偶然日記』さん、『はなバルーンblog』さんで、最新の記事も合わせてご覧いただければと思います。

当時の大手藤子サイトだった、よねさんの『藤子不二雄atRANDOM』(閉鎖)、おおはたさんの『ドラちゃんのおへや』、河合質店さんの『藤子・F・不二雄FAN CLUB』、そして、あるさんの『藤子アニメだいすき!』は、自分も何度も閲覧していて更新も楽しみでした。
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HPの頻繁な更新やブログの記事作成は、自分も身をもって感じていますがかなり大変な作業であるだけに、あるさんが本当に熱心なファンであるということが伝わってきます。

『大全集』刊行発表の際など、このブログに快くトラックバックも返していただいたこともありました。
あのときに、少しでもやり取りをしておけばと思うと、非常に残念でなりません。
ご冥福をお祈りします。
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by fujiko-kei | 2009-09-13 14:18 | 雑記