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藤子不二雄作品を中心とした、レトロ漫画・アニメに関しての調査・研究・ツッコミがメインです。


by fujiko-kei
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どうでもいい書き換え・その2

お久しぶりです。
かれこれ1ヶ月以上ブログを放置していましたが、とりあえず生存報告です。
観覧していただいている皆様には本当に申しわけありません…。

雑記ばかり更新しても面白くありませんので、今回は久々に「まともな記事」です。
一から作成するような余裕がありませんので、作成途中で放置していたものを完成させました。

どうでもいい書き換え・その2_b0134245_937673.jpg
…ということで、藤子不二雄ランドの『ドラえもん』から、初出時やてんとう虫コミックスとは異なっている点をご紹介します。

まずはコレ。どうでもいい書き換え・その2_b0134245_17443958.jpg
画像はF.F.2巻『マジックボックス』からの2コマですが、この話でのび太がジャイアンに取られていた本は「F.F.ランドの『海の王子』第2巻」でした。

この作品の初出は'74年なのですが、対してF.F.ランド自体が'80年代の刊行ですし、明らかに初出時にこうであったとは思えません。
本作は小学館系の単行本には未収録なのですが、『コロコロコミック』創刊号にオリジナル版が再掲載されていたのを偶然見つけましたので比較してみましょう。

オリジナルではどうだったかというと…。
どうでもいい書き換え・その2_b0134245_2102583.jpg
小学四年生』が描かれていたのでした(『マジックボックス』の初出も『小学四年生』)。

どうでもいい書き換え・その2_b0134245_9133221.jpgどうでもいい書き換え・その2_b0134245_9131999.jpg
この回ではスネ夫もジャイアンに「小学館こども百科事典(第8巻)」を取られているのですが、こちらはF.F.ランド(右画像)でも、「小学館」の文字も含めて網掛け以外の変更はナシ。

これは出版社が異なる都合での変更だと考えるのが妥当かと思われますが、F.F.ランドにも収録されている『百年後のフロク』には『小学四年生』がしっかりと登場しますし、編集者による単なる「お遊び」だったのでしょうか…?

どうでもいい書き換え・その2_b0134245_93646100.jpg
同じように『ドラえもん+』第5巻収録の『架空通話アダプター』の最後のコマに登場する、ジャイアン返しに来た本も「F.F.ランドのような本」になっているのですが、初出時にこうだったとは考えにくいですので、元々の状態が気になります。


どうでもいい書き換え・その2_b0134245_17405855.jpg
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F.F.2巻『たぬきさいふ』から、のび太が柿の葉を財布に入れると千円札に変わっていたシーン。
F.F.ランドでの書き換えではないのですが、F.F.ランドで(恐らく初出時も)伊藤博文の千円札だったものが、雑誌『ぼく、ドラえもん』の付録冊子に掲載された際に夏目漱石の千円札に変わりました。
現実に紙幣のC号券(博文)→D号券(漱石)への切り換えは'84年11月から行われていますが、F.F.版2巻は同年の7月13日発行。ギリギリ博文千円が発行されていた時期だったんですね…。

どうでもいいですが、漱石バージョン収録の『ぼく、ドラえもん』第16号が発売されたのも、D号券(漱石)→E号券(英世)切り換えの間際だったりします。

こんなところを描き換えている割には、『カラー作品集』には「1万円札を集めようとしたら、聖徳太子そっくりの人が沢山やってきた」というネタが使われている作品(タイトル失念)も収録されていることですし、いちいち変えることはないのでは…?

果たして『藤子・F・不二雄大全集』収録される際には、伊藤博文なのか、夏目漱石なのか、はたまた野口英世になっているのでしょうか…?


どうでもいい書き換え・その2_b0134245_829590.jpgどうでもいい書き換え・その2_b0134245_8292382.jpg
F.F.2巻『ご先祖さまがんばれ』から細かい変更例。
キレたのび太が放った台詞が「いくぞう!!」から「行くぞお!!」に変更。
(別に吉幾三さんを呼んでいるわけではありません)
さりげなくビックリマークの書体が異なるのもミソです。

F.F.ランド収録の作品は句点「」無しに統一されているのが特徴ですが、この他「恐竜」の「竜」の字が「」に置き換わっていたり(『恐竜ハンター』は『恐ハンター』)、『せん水艦で海行こう』→『潜水艦で海行こう』の変更など、よく分からない書き換えがかなり存在しています。


どうでもいい書き換え・その2_b0134245_9394531.jpgどうでもいい書き換え・その2_b0134245_9395744.jpg
F.F.6巻『のび太のおよめさん』から。
F.F.ランドでは、てんコミ刊行後に『藤子不二雄自薦集』などで加筆・改筆が行われた作品は修正後バージョンが収録されています。
本作の他、『おばあちゃんのおもいで』や『台風のフー子』、『たとえ胃の中、水の中』等も同様の加筆版。
どうでもいい書き換え・その2_b0134245_9454664.jpg
修正後バージョンに出てくる↑コイツは、見事なまでの空気を読んだ登場に笑えます(笑)


どうでもいい書き換え・その2_b0134245_8551224.jpgどうでもいい書き換え・その2_b0134245_85464.jpg
次にF.F.5巻『ロボ子が愛してる』から。
てんコミ版では1コマだけロボ子のリボンの描き忘れがあったのですが、F.F.ランド(右画像)では見事に修正されていました。てんコミ版では近年の増刷でも修正が行われていません。
この他にも、「てんコミの増刷分には影響しないF.F.ランドだけの書き換え」は少なからず存在するようです。


最後になりますが、知ってるようで知らない「正しいセル画の楽しみ方」をご紹介。
■セル画の楽しみ方
キリトリ線でセル画を切り取り、白い紙の上において下じき、額などに入れてください。
また、白い紙に空や海、宇宙やまちの風景など好きな背景をえがき、その上にセル画をおくとさらにすばらしくなります。
初期F.F.ランドのカバー折り返し部分に記載されていた文章ですが、後の方には無くなりました。
by fujiko-kei | 2009-07-19 10:10 | 藤子系-小ネタ