映画作品の画面サイズについて
2008年 04月 19日
しかし、後にテレビやビデオで見た映像では、なぜか普通のテレビ番組と同じ、スタンダード(4:3)の映像となっているのにお気づきでしょうか?
(ただし『のび太の南海大冒険』以降の作品は除く、後述)
もしかして左右をカットしているの?と思われるかもしれませんが、そういうわけでもありません。実は映画ドラえもんは、テレビと同じスタンダードサイズで制作されていたのでした。
簡単に言うとこんな感じです。
■最初に制作された画面(4:3)
上図を見ていただければ分かりますように、まず映画自体は普通のテレビと同じく、スタンダード(4:3)サイズで制作されています(上画像)。
■劇場で見ることのできる画面(16:9)
注:黒帯部は実際には見えない
しかし、上映時に劇場では上下カット、いわゆる「貧乏ビスタ」の状態になっています(中央画像)。強制的にワイド画面にしてしまうこの方法のため、劇場公開時は完全な映像を見ることはできないということです。ちなみに普通の映画より若干画質が悪くなります。
また、画像の『パラレル西遊記』タイトル画面のように、あらかじめ画面レイアウトが上下カットに配慮したものになることもありました。このような事情から、タイトルの文字や、ストーリーの展開上重要なアイテムなどが画面の極端に上、もしくは下に表示されるように制作されることもありません(劇場公開時には画面が切れ、見ることができなくなるため)。
追記:『のび太の恐竜』だけは、ちょっと事情が異なります(後述)。
■ビデオ・テレビ放映での画面(4:3)
その後発売されるビデオ等では、実制作と同じのスタンダードサイズで収録され、劇場では見られなかった上下の部分を見ることができます(下画像)。後のテレビ放送でも、多くの場合はこの状態での放送となります。
そうでなかった場合としては、2004年秋に4週連続で放送された『のび太と銀河超特急』の例があり、こちらは劇場公開と同じ、上下カットの状態で放送されていました。
また、現在発売されている藤子作品のDVD『映画チンプイ・エリさま活動大写真』での映像も、上下カットで収録されているそうです。
このような状態が続いてきた映画ドラですが、'98年公開『のび太の南海大冒険』以降の劇場作品は、はじめからビスタサイズ(16:9)での制作となりました。よって現在ではこのような事例は見られなくなりました(※ただし、'94年の併映作『ドラミちゃん・青いストローハット』が、試験的にビスタサイズで制作されたことはありました)。
■その他・ビデオ版に関して色々
どーでもいいですが、映画冒頭で表示されるの東宝マークは、なぜかビデオによってまちまちな画面サイズとなっていたりします。左から4:3フルサイズ、上下若干カット、ビスタ。
DVDでどうなっているかは未確認です。
こちらは映画『のび太の宇宙開拓史』の予告編の画像。
左がVHS版のもので右がDVD版のものですが、VHS版(左)は画面四辺(特に上下)に少し黒枠があり、若干横長画面になっています。対してDVD版(右)は映像をトリミングされたような感じです。この違いの意味は不明。
VHS版には『怪物くん』が登場する別の予告編も収録されていますが、これはDVDに未収録。
08.08.11追記
藤子不二雄atRANDOM(現在閉鎖中)さんのHPを見て初めて知ったのですが、1980年公開の劇場第1作『のび太の恐竜』だけは、はじめからビスタサイズ(16:9)で制作されていたそうです。他の作品とは逆の例となりますが、こちらはTV放送・ビデオでは完全な映像が見られない…ということが起こっているわけです。知らんかった…。
ちなみに劇場公開の完全版を見る手段ですが、なぜかビデオディスク版(VHDってやつです)だけは16:9のフルサイズで収録されており、こちらで見ることができるそうです。LDはともかく、VHDのプレーヤーを未だに持ってる人がどれだけいるのか分かりませんが…。
=画像引用元=
■映画『ドラえもん のび太のパラレル西遊記』
■映画『ドラえもん のび太の宇宙開拓史』予告編