『忍者ハットリくん』初出・秋田版とFF版の差
2008年 04月 26日
先日古書店にて、秋田書店・サンデーコミックス版『忍者ハットリくん』第3巻(しかも初版!)を格安で入手しました。
それを記念として勝手にハットリ特集とさせていただきます。
昭和43年発行と言うことで、秋田サンデーとしては古参の部類でもある、このサンデー版『ハットリ』ですが、旧カラーである黒い服や、目元にされた隈取り、黒を基調とした秋田サンデー特有の装丁の雰囲気等、とにかく異様にカッコイイ。
また、サンデーコミックスにしては珍しく、背表紙のタイトルに赤・青・黒の3色(通常は赤のみ)が使用されていて、他の秋田サンデーと本棚に並べても結構目立ちます(1巻のみ『忍者』『くん』の部分が赤になっていて、結果赤・黒2色の使用)。
↑ほかの有名どころのサンデーCと並べてみましたが、
やっぱり『ハットリ』だけ異様に栄えて見えます。。
今回は、掲載誌『少年』の紙面をそのまま復刻した文庫本『『少年』傑作集『忍者ハットリくん』ほか』と合わせて、現在メジャーな藤子不二雄(藤子不二雄A)ランド版『ハットリ』と比較していきたいと思います。
また、発行の順番は
秋田サンデーC→てんとう虫C→FFランド
となっています。後で重要になってきますので。
まず第1話。左が初出・右がFFランドです。
てんとう虫C以降は「あれは、三年前のある夜のこと…」と、後日談のようにトビラが描き換えられました。
書き換えられたトビラ絵は、明らかに昭和50年代~の画風になっていますが、昭和43年発行の秋田サンデーコミッックスでどうなっているかが興味深いところです。
旧々パパ。
連載開始~しばらくは、目が『・』で髭を生やした、いかにも「親父さん」といった感じのパパでした。
1966年に放送された実写版『忍者ハットリくん』のオープニングに使用された絵には、このパパが描かれていました。
旧パパ。
連載開始からしばらく経つと、だんだん、ドングリ目をした優しそうなパパに変わっていきました。いかにも「親父さん」の旧々パパと比べると、こちらは「パパ」らしくなりました。
新パパ。
藤子不二雄ランドが出版された際に、パパの顔はすべてこれに統一されました。
パパが描き換えられたにも関わらずケンちゃんの眼鏡の描き忘れを修正していない点、指の本数が初出の4本から5本指に、さりげに描き加えられているのにも注目。
安孫子作品の特徴として、「オチや重要なコマでの黒枠」があります。『ハットリ』では、初出時にはなかった黒枠が、少なくともてんとう虫Cでは追加されていました。
ほか、初出にあって単行本にないものとして、広告があります。
画像は『ベル・ハットリくんノート』と『不二家・オバQシリーズ』の広告。
不二家の方は、ハガキにオバQの似顔絵を描いて不二家に送ると、抽選で5組(2人1組)ケニア自然動物園への旅行が当たりました。
旅行には藤子両氏も同行され、現地にて『オバQ音頭』をみんなで踊ったそうです。
『ハットリくんコーナー』・『フジコスタジオ・ニュース』というミニコーナーも、紙面を半ページほど使って掲載されていました。広告に関しても、単行本化の際には、その部分に新しいコマが描き加えられています。
あと気になったものとしては、『少年』昭和43年1月号掲載分(単行本では『モンキー温泉ウキキにキーの巻』の前半部分)にに載っていた『藤子スタジオ・ニュース』で、藤子先生がドラマ『丹下左膳』に出演したという記事です。
先月、「忍者ハットリくん+忍者怪獣ジッポウ」のTVに出演した藤子先生、その迷演技をみめられてか、こんどは「丹下左膳」(TBS)に剣豪スターとして出演、このところすっかりTVづいている。
(中略)
このシーンは十二月十九日(火)に放送されるそうだから、キミも見てネ!
ちなみに「昭和43年1月号」は実際は昭和42年12月発売ですので、『十二月十九日(火)』というのは昭和42年12月19日のことです。
藤子先生が出演したテレビ番組、一度は見てみたいものですね…。
では次回。