作品レビュー『パパは天さい!』
2008年 05月 06日
第1回は、マイナー作品『パパは天さい!』から始めてみます。
本作は話数がネックなためか、一度も単独の単行本になったことはなく、藤子作品の中でも「超マイナー作」に属するような作品。唯一の単行本として、藤子不二雄ランド版『21エモン』第5巻の巻末に、頁数合わせとして同時収録されています。
本作を読んで、多くの人がまず気付かれそうなことですが…。
パパの顔が『ウメ星デンカ』の王様。
SF短編『自分会議』や『気楽に殺ろうよ』にのび太のパパっぽい人が出てきて驚いたことはありましたが、これはそれ以上の衝撃かもしれません(←大袈裟)。
内容ですが、主人公ののぼるくんは母親を亡くしてパパと二人暮らしなわけです。そのパパは天才発明家なのですが、子供っぽくて息子に頼りっきり。そのパパの発明で騒動が…というストーリーです。
藤子(特にF)作品の通例としては、「ダメな男の子が主人公で、それを助けるためのキャラクターが…」というストーリーが基本ですが、本作は「ダメなパパを助ける息子」という珍しい構成となっています。
■作品リスト
描かれた作品はわずか5話のみ。
■『タコあげ』…『月刊てづかマガジン れお』1972年1月号掲載
■『ダメなパパ』…『月刊てづかマガジン れお』1972年2月号掲載
■『空気クレヨン』…『月刊てづかマガジン れお』1972年3月号掲載
■『メモビジョン』…『月刊てづかマガジン れお』1972年4月号掲載
■『ロボット・ママ』…未発表作品
虫プロ経営難で掲載誌『月刊てづかマガジン れお』自体が4号出ただけで休刊となってしまったため、結局4話で打ち切りの形になってしまいました。第5話『ロボット・ママ』が未発表となったのも、このあたりの事情が絡んでいるものと思われます。