ものすごく微妙な違い
2008年 06月 22日
■トーンの貼り忘れ→修正
雑誌掲載時に縦線だけで表現されている(場合が多い)ドラの体の色ですが、その後単行本化される際に、ドラの体の色の表現として縦線の上にスクリーントーン(or薄墨?)が貼られています。
よってこれが現在一番オーソドックスな形となっています。
てんコミ1巻『かげがり』では、ひとコマだけトーンが貼り忘れられていましたが、現在は修正されています。


これの極みといえるのは、1巻『走れ!ウマタケ』のひとコマ。

ドラの頭にはちゃんとトーンが貼られているのに、体には貼られていないため、なんか異様な姿になっています。なぜ担当者は気付かなかったのか謎です(現在は修正)。
■描き文字の修正
1巻『未来の国から はるばると』から、ヘリトンボ(当時)で飛び出すシーン。『ワッ』の描き文字に、現在ではトーンが追加されています。


こういった違いは他にも存在するかもしれません。
■コマ数表示の消し忘れ→削除
1970年代前半くらいまで、雑誌に掲載された漫画には、コマの隅に『(1)(2)(3)(4)…』といった開始からのコマ数が表示されていました。これは、漫画を読み進め易くするためのもので、漫画がある程度普及した70年代以降は表示されることは少なくなりました。
ふつう単行本でこの表示は消されるのですが、『ドラえもん』では2カ所にこれが残ってしまっていました。


コマ数表示が残っているのは1巻『ランプのけむりおばけ』と『走れ!ウマタケ』の2作品で各1コマ。『(56)』・『(21)』の表示がありました。現在は削除されています。
追記:12巻でも確認。この他にも消し忘れはあると思います。
作品へのコマ数表示は、最近では単行本『ぴっかぴかコミックス』で復活しました。
■ザンネンとチャランポラン
3巻『あやうし!ライオン仮面』で、フニャコフニャ夫先生の原稿を取りに来た雑誌の編集者たち。編集者たちの所属雑誌は、右から『少年マガジン』、『少年サンデー』、『少年チャンピオン』、『少年ジャンプ』といった実在の雑誌をパロったものとなっています。
ここで、2番目と3番目の人の雑誌が『少年ザンネン』と『少年チャランポラン』だったのが、最近の版では『少年ヨンデー』と『少年チャンポン』に変更されています。


この変更ですが、少なくとも『少年ザンネン』→『少年ヨンデー』の変更は、『少年ザンネン』の編集者が二人になってしまうためかと思われます(『ライオン仮面』を催促している編集者も『少年ザンネン』所属のため)。
『少年チャランポラン』→『少年チャンポン』の変更理由は不明。
■『?』の削除
同じく『あやうし!ライオン仮面』の最後のコマの2カ所の吹き出しには、以前は「?」「?」という描き文字が描かれていましたが、後の版では空白になっています。さらに現在では、この「?」「?」がまた復活しているそうです。


同様の描き換えは6巻『せん水艦で海に行こう』でも見られます(こちらは消えたまま)。
■ドラの白い鼻
7巻『エスパーぼうし』で、のび太がエスパーぼうしに苦戦しているシーン。なぜかドラの鼻が白になっていましたが、現在は黒に修正されています。


この変更ですが、少なくとも'97年2月発行の121刷では白のまま、'99年1月発行の130刷では黒になっていますので、比較的最近の修正といえます。
■目が三つ…


7巻『手足七本 目が三つ』は、90年頃の版から『ねこの手もかりたい』にタイトルが変更されました。
その際、トビラ絵に描かれていたのび太に描かれていた目玉3つがなぜか削除されました。変更後ののび太の絵は、元の絵から単に目玉を取っ払ったというわけではなく、絵がトレスで描き直されているようです(微妙に絵のタッチが違う)。
■自薦集・静香と静香ママの顔
1981年に発行された藤子不二雄自薦集と、その再編集版で1998年に発行された藤子・F・不二雄自選集に収録された一部の作品では、この本のために一部のコマが描き加えられている、ということは有名かと思われます。
これらの殆どは、元の作品の間に新しいコマが挿入される『描き加え』の形なのですが、『のろのろ、じたばた』(てんコミ5巻収録)では、『描き加え』ではなく『描き換え』が行われていました。


変更されたのは、ドラが源家に飛び込んだあと、静香が「どな……。」というコマ以降、計7コマ。この間の静香の顔がすべて描き換えられており、顔が違っていた静香のママの顔もそれに合わせて修正されました。ドラ・のびに変更は無し。
描き換えバージョンは基本的に自薦集でしか見ることができません。
ざっと、色々気付いたことを書いてみました。
ネタが溜まり次第、第二弾も予定しておりますのでご期待ください。
では次回。