幻の藤子コミックスたち…
2008年 08月 12日
今回は、そんな可哀想なコミックたちを紹介していきたいと思います。
■Part.01:てんとう虫コミックス『ドラえもん』第46巻
通常、複数巻あるてんとう虫コミックスには「第○巻終わり/第□巻に続く」と表記されています。現在最終巻となっている45巻にも、それはちゃんと書かれていました。
しかし藤子F氏が亡くなった後に結局46巻が発行されることはなく、現在ではこの発売予告も削除されているようです。
膨大な未収録作品を残したままに、てんコミドラは「既刊1~45巻」ではなく「全45巻」で完結となってしまいました。
以降'05年に『ドラえもん+』が刊行されるまで10年近く、てんコミでドラの新刊が出ることはありませんでした(大長編が出ていますが、それは別として)。
■Part.02:中公コミック・スーリ版『喝揚丸ユスリ商会』
なにげに映画チンプイのコミックを読み返していると、巻末に発売リストを見つけました。『笑ゥせぇるすまん』、『夢魔子』は分かりますが、コミックスーリ版では覚えのない作品のタイトルが……『喝揚丸ユスリ商会』(近刊)。
コミック・スーリについては予備知識が少なかったため、もしかして…と思ってWeb上を探しましたが、出版されたという情報は見つからず。結局未発売に終わってしまったようです(『喝揚丸』シリーズは、一応この頃すでに愛蔵版『ブラックユーモア短編集』には収録されていました)。
もし実現していれば、収録作は読切版の『恐喝有限会社』、『喝揚丸ユスリ商会』シリーズ、『番外社員』あたりでしょうか。
『喝揚丸』は未発売に終わりましたが、その後コミック・スーリでは『笑ゥせぇるすまん』第2期と『さすらいくん』が発売されました。
更にその後、'02年には、コンビニ本として『喝揚丸ユスリ商会』は出版。初の単独での単行本デビューを果たしました(同じく『番外社員』も出版)。
■Part.03:第Ⅱ期 藤子不二雄ランド
刊行予告がされたものの、以降それっきり…その代表格といえば、やっぱりこれですね。
(第Ⅰ期)藤子不二雄ランドは'89年発売のVOL.301『UTOPIA最後の世界大戦』で完結。その際に、第1期に収録漏れとなった作品は、後に第2期として刊行が予告されていました(「第○期」というのは、先に刊行されていた、講談社の手塚治虫漫画全集をマネたものと思われます)。
しかしそれは実現することなく、'95年には第Ⅰ期F.F.ランド自体が絶版に。第Ⅱ期の刊行は幻となってしまいました。
しかし、近年に安孫子作品のみですが、復刻版『藤子不二雄Aランド』全149巻が復刊ドットコム・ブッキング社から奇跡のように復刻。復刊ドットコムの交渉次第では、第Ⅱ期が今後発売される可能性はないとは言えません(実現されたとしても、安孫子作品だけの刊行になりそうな気もしますが…)。
ここでは、第Ⅱ期に続刊が発売予定だった作品を纏めてみました。
◆『ドラえもん』第46巻~
◆『映画原作・大長編ドラえもん』第10巻~
◆『少年SF短編』第6巻~
◆『異色SF短編』第4巻~
◆『T・Pぼん』第6巻(完結)
他多数
第Ⅰ期刊行中に刊行予告されていたものの、結局発売されなかった作品はこれら。
◆『ぶきみな5週間』
◆『チンタラ神ちゃん』
◆『フータくん』ナンデモ会社編
◆『(劇画・)毛沢東伝』
◆『変コレクション・シリーズ』
◆『愛ぬすびと』
◆『愛たずねびと』
◆『黒ィせぇるすまん』
◆『無名くん』
◆『愛たずねびと』
◆『ミス・ドラキュラ』
◆『ミノタウロスの皿』
他多数
■Part.04:てんとう虫コミックス版『みきおとミキオ』第2巻
TC版、F.F.版、コロコロ文庫版で発売されている『みきおとミキオ』ですが、てんコミ版には「1」と表記され、続刊が発売できるようになっていました。巻末にも「第1巻終わり/第2巻に続く」と表記されています。
ですが、最後まで発売されることはなく、てんコミ版は'90年代末に絶版となってしまいました。
しかし、よく考えてみると、てんコミ版の未収録作品は4本。そのうち1本は、小学4年生に掲載された、幻の第1回(コミックスに収録されているのは小学五年生版)ですので、それを省くと3話で、合わせて二、三十頁ほど。これじゃあコミックス化なんか出来るわけがないんですね。
てんコミ版刊行時に『みきおとミキオ』はとっくに完結していましたので、頁数の関係で第2巻の発行が無理ということは、十分把握できたと思いますが…。
まあ、どうせなら『バケルくん』第2巻のように、『ジャングル黒べえ』を同時収録して出してくれればよかったんですけどね…。
■Part.05:虫プロ・虫コミックス版『ドラえもん』
『オバケのQ太郎』、『パーマン』、『モジャ公』等の藤子作品をコミックス化してきた、虫プロ商事発行の虫コミックス。
'73年には、当時テレビアニメが放送された『ドラえもん』の刊行が予告されていたそうです。
しかし同年8月に、予てからの経営難で虫プロ商事は倒産。『旧ドラ』放送中のコミックス化は実現することなく、翌'74年に小学館より発売。その後爆発的人気となりました。
もしこれが発売されていたなら、現在では、復刻版『UTOPIA』、虫コミ『オバQ』に並んで、藤子ファンにとっての「高額な探求本」のひとつになっていたことでしょう。
それにしても虫コミって、藤子作品だけやたら高いですね…。他の作品は、近年の漫画復刻ブームがあってか、ここ数年間で落ち着いた価格になったのに…。
藤子作品は高いので一生買えそうにありません…。
有名なもの、そうでないものもありますが、幻の単行本たちを並べてみました。
ネタがそんなにありませんので、第2弾があるかどうかは未定です…。
では次回。