『昭和漫画風雲録』での藤子作品
2008年 10月 18日
図書館で借りてきた、2004年・実業之日本社発行『昭和漫画風雲録』についてご紹介します。
この本は、地の巻、火の巻、水の巻の3冊に(どれが1・2・3巻なのかハッキリしません)分かれていまして、1980年に同社から発行された『日本漫画代表作選集』全6巻(ハードカバーのデカい本でした)の1・6巻、2・4巻、3・6巻を3冊に合本・復刻(一部を除く・後述)したもの。
当時の日本を代表する漫画作品群を収録した全集です。
その中で藤子作品は、『地の巻』に
■新オバケのQ太郎『U子なんか大きらい』
■SF短編『カンビュセスの籤』
『火の巻』に
■SF短編『やすらぎの館』
■ドラえもん『カネバチはよく働く』
■ドラえもん『家がだんだん遠くなる』
のF作品5作が収録されています。
ということで、特に珍しい作品が収録されているわけではありません…。
唯一貴重だった、新オバQ『U子なんか大きらい』も『熱血!コロコロ伝説』の復刻版で読むことができますので、藤子作品目当てではあまり必要のない本でした。
この本では「作者のペンネームは復刻版という性質上、本作品発表時のままにしております。」という表記の通り、「石森章太郎」先生の表記はそのままになっていましたが、藤本先生の表記は思いっきり「藤子・F・不二雄」に変えられていました。もしかすると藤子プロから要請があった?
ただマニア向けに言うと、『やすらぎの館』、『カンビュセスの籤』では、『SF短編PERFECT版』では見られない、扉絵の描き文字のタイトルが見ることができます(文庫・愛蔵版で読めますが)。
『PERFECT版』ではタイトルが明朝体に統一されてしまっていますので…。
また各作品には、単行本で消えてしまうメインタイトルも新たに表示されていました。
『ドラ』の場合、フリガナが付いていたり、通常のものとは微妙に形が違う独特のもの。
『日本漫画代表作選集』→『昭和漫画風雲録』収録漏れ作品リスト
元祖『日本漫画代表作選集』には収録されていたのに、『昭和漫画風雲録』では未収録となった作品が少なからず存在しています。やなせたかし先生の「復刊の言葉」によると、頁数の関係で収録を見送ったとのこと。未収録作は以下16本。
注:「第○巻」は『日本漫画―』での巻数。
第2巻 ギャグ漫画
■黒鉄ヒロシ『赤兵衛』
■土田よしこ『つる姫じゃ~っ!』
■岩本久則『漫画の如きウソなりき』
■岩本久則『漫画の手帖』
■馬場のぼる『ジロさん鴉』
■前川かずお『ばけばけ5』
■横山隆一『フクちゃん』
■園山俊二『ギャートルズ』
■秋好馨『轟先生』
■秋好馨『ますらを派出夫会』
第3巻 少女漫画
■木原敏江『くれないに燃ゆるとも』
第4巻 幻想漫画
■別府ちづこ『百鬼峠の入道ちゃん』
■水野英子『にれ屋敷』
第5巻 青春漫画
■真崎守『ひとりで歩く日の夏』
■大友克洋『犯す』
■萩尾望都『左ききのイザン』
では次回。