『新宝島』オリジナル版 来春ついに復刻!
2008年 10月 28日
手塚治虫先生の処女単行本であり、藤子不二雄先生との関わりも大きい『新寶島(新宝島)』(1947年、育英出版発行)が、ついに復刻されるとの朗報が入ってきました!
出版は、ここ数年手塚、水木しげる、楳図かずお作品などの復刻を行っている小学館クリエイティブ。手塚プロに3年がかりの交渉を行った成果で、来年2月の発売だそうです。
■手塚治虫の「新宝島」62年ぶり復刻へ 文化 社会 YOMIURI ONLINE
■asahi_com:手塚治虫の「新宝島」オリジナル版、62年ぶり復刻へ - 文化
オリジナル版『新寶島』は、手塚先生自身が復刻に消極的だった…ということで、手塚先生亡き後も、これまで完全な形で復刻されたことはありませんでした。現在メジャーな講談社の手塚治虫全集からは、代わりに手塚先生が全面改稿した、「別物」が出版されています。
ここ数年間の復刻漫画ブームでも復刻は無理かと思いきや、ついにこの時が来るとは…。
今回復刻に使用されるのは「1947年1月発行の初版本」ということですが、現存確認2冊といわれる初版本は、片方はまんだらけ所有の超極美本(評価額:500万円)、もう片方は個人所有だそうで、メディアで紹介されている「初版本」の画像を見る限り、個人所有の方のものが使われるようです。
どうでもいいですが、「『新寶島』の初版」といわれるものには、昭和22年「1月30日発行の初版」と「4月1日発行の初版」があったりしまして、この2つは微妙にバージョンが異なっています。
この2つは元になる「描き版」(原稿をトレスしたもの)が違っているそうで、「1月初版」では、「4月初版」にない、足の描き忘れ等のミスがあるとか…。このミスが原本のままで出版されるのかどうか、というところも今回の個人的見所。
しかし今回の復刻で、オリジナル版『新寶島』が唯一復刻掲載された『ジュンマンガ』を持っている意義が、少し薄まってしまったような気がします。
最も『新寶島』原本を所有されている方は、もっと複雑な気持ちかもしれませんが…。
『バンビ』と『ピノキオ』、そして『新寶島』が復刻ということで、残る復刻が困難とされている手塚作品は『妖怪探偵團(妖怪探偵団)』と『キングコング』の2作。さすがにこれは難しいでしょうか…!?
この調子で藤子先生の『UTOPIA 最後の世界大戦』も、もう一度復刻されないかと期待。
では次回。
参考/画像引用:
■『謎のマンガ家・酒井七馬伝―「新宝島」伝説の光と影』
■『手塚治虫の「新宝島」その伝説と真実』
■神戸新聞
■『SFファンタジア 6 マンガ編』
■藤子不二雄ランド『フータくんNOW!』