関西の藤子アニメ事情について
2008年 11月 19日
関西で40代以上の方はご存じかと思われますが、関西のテレビ局では「腸捻転ネットワーク」という状態が続いていました。
これは1975年4月1日の「腸捻転」解消まで、現在とは逆に、現在はTBS系の毎日放送がNET(→現:テレビ朝日)系の放送を、現在テレビ朝日系の朝日放送がTBS系の番組をネットしていたという現象です。腸捻転解消の日には、放送開始と共に「4チャンネル」と「6チャンネル」の放送内容が前日までと「逆」になり、現在に至っています。
ここで注目されるのは、「腸捻転」解消前後に放送された藤子アニメです。
'60年代の東京ムービー/スタジオ・ゼロ制作『オバケのQ太郎』、『パーマン』、『怪物くん』、『ウメ星デンカ』のモノクロ作品4本はTBS系列で放送。
関西では、現在なら毎日放送がネットするところですが「腸捻転」解消前ですので、関西でこれらの番組を放送したのは、今はテレビ朝日系列の朝日放送でした。当時の朝日新聞・関西版の記事にも、「朝日テレビ系『オバケのQ太郎』登場」とあります。
その後、'80年代の第2次藤子ブームで制作された、シンエイ動画制作の『ドラえもん』、『オバケのQ太郎』、『パーマン』、『怪物くん』など、これらの作品はテレビ朝日系列で放送されています。この時期、すでに「腸捻転」は解消されていましたので、『藤子不二雄ワイド』なども含めて、これらの番組を関西で放送したのは、これまた朝日放送だったのでした。
つまり、関西では'87年にフジテレビ系(関西テレビ)でアニメスペシャル『キテレツ大百科』が放送されるまで、腸捻転ネットとは無関係の日本テレビ系で放送された『新オバケのQ太郎』と『ドラえもん』、NET系で放送された『ジャングル黒べえ』の3作を除きますと、すべての藤子アニメが朝日放送「6チャンネル」で放送されていたということになります。これはすごい…!
その数は計12本!
事実上、朝日放送は藤子アニメを一番多く放送したテレビ局になるのではないでしょうか?
ちなみに、'87年秋までにTBSで放送された藤子アニメは4本、テレ朝(NET)では9本。
ちょっと変わった例としては、1973年に放送された『ジャングル黒べえ』の例があります。
この作品は、藤子アニメでは珍しい在阪局制作の作品。つまり関西の毎日放送がキー局となって、全国に逆ネットする…という形での放送でしたので、毎日放送が送り出した番組を、「腸捻転」により他のNET系列の放送局がネットしたのでした。
このような放送形態から『ジャングル黒べえ』は、全国的には「NET(テレビ朝日)のアニメ」として認知されています。しかし、関西の腸捻転ネットワーク事情をご存じでない方が、放映資料などのデータで「キー局:毎日放送、放送:NET系」と書かれているのを見ると、混乱を招いてしまいそうな気がします。
また、関東では『ジャン黒』と『ドラえもん』(シンエイ版)が、同じテレビ局のテレビ朝日(旧:NET)で放送されているのですが、関西では『ジャン黒』が毎日放送、『ドラえもん』が朝日放送と、別々のテレビ局で放送されました。またややこしいですね…(笑)
最後になりますが、藤子アニメの関西での放送局をまとめてみました。
■『オバケのQ太郎』、『パーマン』他、モノクロ藤子アニメを放送していたのは朝日放送では次回。
■実写の『忍者ハットリくん』、『ジャングル黒べえ』を放送していたのは毎日放送
■『レインボー戦隊ロビン』を放送したのも毎日放送
■『新オバケのQ太郎』、旧『ドラえもん』を放送したのはよみうりテレビ
■『ドラえもん』、『パーマン』をはじめ、'80年代にシンエイ藤子アニメを放送したのは朝日放送
試験が近付きましたので、暫く更新休止いたします。